聴覚・言語障害者は、コミュニケーションをとる段階になって、初めてその障害に気がつくことが多く、普段は見かけ上わかりにくい。聴覚の障害も個人差が大きく、障害の程度が異なる。特に乳幼児期に失聴するなど、その時期によっては言葉の習得が困難になるため、コミュニケーションが十分に行えない場合もある。聞こえるレベルにより、補聴器でも会話が可能な人もいるが、周囲の雑音の状況、補聴器の具合、複数の人と会話する時等、うまく聞き取れないこともある。また、重度の聴覚障害の場合には補聴器をつけても人の声を聞き取ることができない場合がある。聞こえないことにより、言葉をうまく発音できない障害を伴うことがある。また、聴覚障害という認識がなくても、高齢になり耳が聞こえにくくなっている場合もある。
聴覚障害者は、公共交通機関を利用するときに、駅の案内放送、発車ベル、車内放送等が聞こえず困難を感じている。電光掲示装置や何らかの視覚的な表示機器を必要としている。アナウンスが聞き取れない、車内に電光掲示装置がない等の状況では、外を見たり、駅名、停留所名表示に常に注意しなければならない。列車の接近音、発車合図が聞こえないことにより、列車に接触しそうになったり、ドアに挟まれそうになったり、危険な思いをすることが少なくない。
聴覚・言語障害者にとって、窓口や案内時におけるコミュニケーションの取り方を習得した職員による、短く簡潔な文章による筆談、できれば簡単な手話等での対応が望まれる。