視覚障害者には、主として音声による情報案内が必要となる。たとえば、運賃や乗り換え経路の案内、駅構内の案内等である。また、ホーム上での適切な誘導による安全確保等、移動の安全を確保することが重要となる。
視覚障害者は、まったく見えない全盲の人だけでなく、光を感じたり物の輪郭等を判断でき、視覚障害者誘導用ブロックや壁面・床面のラインと背景色のコントラストを目印に外出できるような弱視(ロービジョンとも呼ばれる)と言われる人も少なくない。全盲は視覚に障害のある方の2割程度といわれ、その他は弱視となる。弱視者は周囲の明るさや対象物のコントラスト等の状況によって、同じ物でも見え方が異なる場合がある。
ほかに、視野の一部に欠損があり、周囲の情報を十分に視覚的に捉えることができない障害や視力低下、ぼやけて見えにくい、視野狭窄により見えにくい、視野の中心の暗点により見えにくい、明順応障害がありまぶしくて見えにくい等、様々な障害がある。
視覚障害者が、公共交通機関を利用して外出する時は、目的地への道順、目標物等を事前に学習してから出かけることが一般的である。しかし、日によって屋外空間の状況は変化することから、天候、人の流れ、不意な工事の実施等、いつもと違う環境に遭遇することも少なくない。また、急に初めての場所に出かける必要に迫られることもある。単独歩行に慣れている視覚障害者でも、こうした状況の変化は緊張を強いられ、ともすれば思わぬ危険に遭遇することもある。駅周辺の放置自転車や、コンコースに出店している売店等も注意しなければぶつかるため、周囲の配慮が必要となる。
色覚異常者は、明度や彩度の似た色の判別が困難となる。また、加齢により色覚機能が低下する人もいることから、今後、高齢化の進展により何らかの色覚異常を有する人が増えるものと見込まれる。 色覚異常者は、一見異なった色でも同じ明度や彩度の場合見分けることが困難となることがある。例えば、「赤と緑とグレー」、「オレンジと黄緑」は明度が同じであるため、区別することが困難となる場合がある。 逆に、「緑と青緑」の2色は見分けることができる場合がある。このため、旅客施設における案内表示等について、色覚異常に対する配慮が必要となる。